ホスピタリティ

オーストラリアでホスピタリティ(宿泊・飲食・接客サービスのマネジメント)を学ぶ場合、日本の専門学校とは仕組みが異なります。Certificate III → Diploma → Advanced Diploma → Bachelor という4段階の国家資格枠組み(AQF)があり、自分の目的・期間・予算に合わせて入口と出口を選びます。

このページでは、ビクトリア州政府が運営するホスピタリティ特化のTAFE William Angliss Institute(ウィリアム・アングリス)を例に、4段階の違い・期間・2027年度の実際の授業料・入学要件・卒業後の進路までをまとめます。金額は学校の正規料金表にもとづく実額です。

オーストラリアのホスピタリティ留学は「接客」ではなく「経営」を学ぶ

日本で「ホスピタリティ」というと接客マナーを指すことが多いですが、オーストラリアの教育機関でいうホスピタリティはホテル・レストラン・バー・イベント会場などを運営するためのマネジメントを指します。

実際、Diploma以上のカリキュラムでは次のような領域を扱います。

  • ビジネスオペレーション(原価管理・在庫・仕入れ)
  • 人事(採用・シフト・スタッフ育成)
  • 法務とコンプライアンス(酒類提供・食品衛生)
  • サービス品質管理とゲスト体験の設計

William Angliss Institute では、座学と実習を組み合わせたトレーニングに加え、Melbourne Food and Wine Festival や Spring Racing Carnival といったメルボルンを代表するイベントの運営に関わる機会もあります。

ホスピタリティの資格は4段階|期間・学費・到達点の比較

下表は William Angliss Institute メルボルンキャンパスの2027年度料金(留学生向け・豪ドル)です。パッケージを組まず、その資格から直接始めた場合の金額です。

資格期間授業料(合計)到達点・想定ポジション
Certificate III in Hospitality0.5年$9,500現場スタッフとして働くための基礎。まず就労経験を積みたい人向け
Diploma of Hospitality Management1年$19,000スーパーバイザー/主任クラス。マネジメントの入口
Advanced Diploma of Hospitality Management1.5年$28,500部門マネージャークラス。学士への編入も可能
Bachelor of Tourism and Hospitality Management3年$70,800学士号。本社・企画職やマネジメント幹部を目指すルート

※ 1豪ドル=100円で換算すると、Certificate IIIが約95万円、Diplomaが約190万円、Advanced Diplomaが約285万円、Bachelorが約708万円です(為替により変動します)。最新の金額と全コースの一覧は授業料ページをご確認ください。

どれを選べばよいか

  • 費用を抑えて現地就労につなげたい → Certificate III(半年・$9,500)
  • マネジメントを学びつつ費用対効果を重視 → Diploma(1年・$19,000)。もっとも選ばれるレンジです
  • 将来の学士編入まで視野に入れる → Advanced Diploma(1.5年・$28,500)
  • 学位が必要(本社勤務・海外でのキャリア形成) → Bachelor(3年・$70,800)

Certificate III in Hospitality|0.5年・$9,500

ホスピタリティ業界で働くための基礎資格です。期間が半年と短く、授業料も$9,500と最小限のため、まず現地で働きながら英語と実務経験を積みたい人の入口になります。入学時期は2月と7月です。

この資格のみで終えるのではなく、修了後に Diploma へ進むルートを想定しておくと、後述のパッケージ進学で総額を抑えられます。

Diploma of Hospitality Management|1年・$19,000

ホスピタリティ業界でキャリアを積んでいきたい人向けの中核コースです。業界のプロフェッショナルやゲスト講師から、座学と実技をバランスよく学びます。ビジネスオペレーション・人事・法務・サービス品質を扱い、マネジメントポジションに就くための準備をします。

入学時期は2月・5月・7月・9月の年4回と、ホスピタリティ分野でもっとも柔軟です。日本の卒業時期に合わせやすいのはこのコースです。

Advanced Diploma of Hospitality Management|1.5年・$28,500

Diploma の内容をマネジメント側に深めた資格です。単独で始める場合は合計1.5年、Diploma 修了者は追加0.5年で取得できます。

Advanced Diploma を修了すると Bachelor Degree への進学が可能になるため、「まず職業資格を取り、その後に学位を取る」という2段構えのルートが組めます。詳細は進学制度をご確認ください。

Bachelor of Tourism and Hospitality Management|3年・$70,800

ツーリズムとホスピタリティを横断して学ぶ学士号です。3年で$70,800、実務実習を組み込む Professional Practice 付きは4年で$76,700。Advanced Diploma からのパッケージ進学であれば、Professional Practice 付き4年で$69,800となり、直接入学より総額を抑えられます。

ホテル運営に軸足を置きたい場合は Bachelor of Resort and Hotel Management(3年・$70,800)も選択肢です。

調理・製菓・キャビンクルーと組み合わせるパッケージ進学

William Angliss Institute の特徴は、調理・製菓・航空の資格とホスピタリティを積み上げられる点です。現場スキルとマネジメントの両方を持てるため、帰国後の就職でも差別化しやすくなります。

ルート組み合わせ期間授業料(合計)
調理 → ホスピタリティCert III Commercial Cookery + Cert IV Kitchen Management + Diploma of Hospitality Management2年$44,000
調理 → ホスピタリティ(上位)上記 + Advanced Diploma of Hospitality Management2.5年$53,500
製菓 → ホスピタリティCert IV Patisserie + Diploma of Hospitality Management2年$44,000
製菓 → ホスピタリティ(上位)上記 + Advanced Diploma of Hospitality Management2.5年$53,500
キャビンクルー → ホスピタリティCert III in Aviation (Cabin Crew) + Diploma of Hospitality Management1.5年$30,330
キャビンクルー → ホスピタリティ(上位)上記 + Advanced Diploma of Hospitality Management2年$39,830

AIHS ホテルストリーム|ホテル実務に振ったルート

ホテル業界に直結させたい場合は、AIHS(Australian International Hotel School)のホテルストリームがあります。

コース期間授業料(合計)
Diploma of Hospitality Management(AIHS ホテルストリーム)1.5年$22,750
Advanced Diploma of Hospitality Management(AIHS)2年$32,250

入学要件|学歴と英語スコア

資格学歴IELTSTOEFL iBT
Certificate高校卒業 または Australian Year 11 修了6.0(各科目5.0以上)64
Diploma/Advanced Diploma高校卒業 または同等(50点以上)6.0(各科目5.0以上)64
Bachelor高校卒業 または Australian Year 12(ATAR/TER 60点以上)6.0(各科目5.5以上)79〜80

PTE Academic、および2024年2月12日以降のCAEも認められています。詳細は入学基準をご確認ください。

英語スコアが足りない場合は、提携語学学校(15校)の英語コースを修了することで、IELTSを受験せずに英語要件を満たせます。無料のオンラインプレースメントテストで必要週数の目安が分かります。

入学時期|Diplomaは年4回

コース入学月
Certificate III in Hospitality2月・7月
Diploma of Hospitality Management2月・5月・7月・9月
Advanced Diploma of Hospitality Management2月・7月
Bachelor of Tourism and Hospitality Management2月・7月

出願スケジュールの目安は入学時期についてで解説しています。

卒業後の進路と提携企業

William Angliss Institute はキャリアセンターを持ち、在学中のアルバイト探しから卒業後の就職活動まで無料でサポートします(レジュメ・カバーレターの添削、面接練習、キャリア相談、CareerHub による求人配信)。

主な提携先は次のとおりです。

  • 国際ホテルチェーン:IHG、Accor、Hilton、Starwood、Hyatt、Banyan Tree、Pan Pacific Hotels Group
  • カジノホテル:Marina Bay Sands、The Venetian、Galaxy Entertainment Group、Grand Lisboa
  • 航空会社:Qantas、Jetstar、Singapore Airlines、Scoot、Vietnam Airlines
  • 大型イベント:メルボルン/シンガポール F1グランプリ、World Expo、コモンウェルスゲームズ・オリンピック、Spring Racing Carnival

詳細は就職ページをご覧ください。

なぜホスピタリティで William Angliss Institute なのか

  • 80年の歴史を持つ、オーストラリア最大のホスピタリティ研修機関。総合大学の一学部ではなく、この分野に特化した専門機関です
  • ビクトリア州政府が運営する公立TAFE。私立の職業訓練校とは運営母体が異なります
  • 調理・製菓・航空・イベントと横断的に積み上げられるため、現場スキルとマネジメントを両方持てます
  • Diplomaから学士まで一つの機関で完結。編入のたびに学校を変える必要がありません

よくある質問

ホスピタリティ留学の総額はいくらですか?

授業料だけで見ると Certificate III が$9,500、Diploma が$19,000、Advanced Diploma が$28,500、Bachelor が$70,800です。これに生活費・滞在費・航空券・留学生健康保険(OSHC)・ビザ申請費用が加わります。

Diploma と Advanced Diploma はどちらを選ぶべきですか?

現地就労やマネジメント職の入口が目的なら Diploma(1年)で十分です。将来的に学士号まで取る予定があるなら、Advanced Diploma を経由したほうが編入がスムーズです。

調理とホスピタリティ、どちらを先に学ぶべきですか?

手に職をつけたい場合は調理(Certificate III → Certificate IV)から入り、Diploma of Hospitality Management に積み上げるのが一般的です。パッケージで申し込むと2年$44,000と、個別に取るより総額を抑えられます。

英語力に自信がなくても出願できますか?

できます。提携語学学校の英語コースを修了すれば、IELTSを受験せずに英語要件を満たせます。必要な週数は無料のプレースメントテストで確認できます。

メルボルンとシドニー、どちらのキャンパスですか?

ホスピタリティ系コースはメルボルンキャンパスでの開講です。シドニーキャンパスでは調理・製菓系のコースが開講されています。

コース選びや費用の見積もり、語学学校を挟む場合のスケジュールについては、日本語の公式出願窓口で無料相談を受け付けています。カウンセリングの予約はこちらお見積りはこちら